About Leather

元厚(げんあつ)の革への挑戦

流通する革製品のほとんどは、革を薄く漉いています。
それは当然で、元厚の革は、厚みのばらつきが大きく、均一な製品の量産に向きません。薄く漉いた方が、品質を均質に保ち、加工性もよく、製品も軽く・薄くなります。そして、薄い革を表裏張り合わせることを上質だと捉えるのが革業界の常識で、実際、美しく仕上がります。
流通する商品のほとんどはクロム鞣の革であり、クロム鞣であれば薄く漉いても丈夫なので問題ありません。しかし、タンニン鞣しの革を薄くしてしまうと脆く破れやすくなってしまいます。それでも市場にあるタンニン鞣しの革製品は、クロム鞣の革のように薄く加工されたものがほとんどです。
SYRINXはタンニン鞣しの革の良さが最も堪能できるのは、厚革だと考えました。しかも、できれば元厚のまま。床面付近は最もオイルが染み込んでいます。その床面を削ってしまったのでは、オイリーな革の利点が大きく損なわれます。
厚さにばらつきのある元厚のまま、精度が必要な製品をデザインすることは難しく、クレームのリスクも伴います。 しかし、タンニン鞣し革はきつければ伸びます。そして、実は、緩ければ縮みます。つまり、使えば使うほどジャストフィットするのです。
例えば、SYRINXのiPhoneケースは、何年使用しても緩くなりません。これは常に革が自らiPhoneにジャストフィットしようとしているからなのです。クロム鞣しの革や薄く漉かれた革は、革が本来持つ復元力が失われ、ただ伸びるだけです。精度が必要な製品を厚さにバラツキのある革でつくることは、これまでの常識では考えられなかたことですが、実は極めて理にかなっているのです。
このように、SYRINXはこれまでの常識に囚われす、素材の特徴を最大限活かす製品をデザインしています。

深まる色艶
Tempesti Elbamatt(エルバマット)

エルバマット
イタリア植物タンニン鞣し革協会の認定書

9世紀初頭からイタリア・トスカーナ地方に伝わる「ヴァケッタ製法」。その伝統を今なお守り続けるテンペスティー社のエルバマット・レザーは、自然の樹木のタンニンでなめし、じっくりとオイルを染み込ませた革です。ヴァケッタレザーは、加脂工程に牛脂を用い、水分を一切使用しないことが最大の特徴で、独特のしなやかさがあります。牛脂は革に浸透しにくく、繊維の奥まで染み込ませるのに時間がかかります。しかし、一度浸透すると抜けにくく、ほぼ永久に潤いと艶のある革質を味わえます。そして、牛脂と魚脂を配合し、より多くのオイルを革に染み込ませるのがTempestiの特許技術、エルバマット製法です。
エルバマット は、北欧諸国の寒冷地で育った、きめの細かい最高級の牛原皮の中でも最高級とされる胴部分(ベンズ)のみを贅沢に使用しています。
通常の2倍のオイルを浸透させたエルバマットは、吸い付くような滑らかさで、見事なまでに美しく色艶が深まり、数あるイタリアンレザーの中でも際立つ存在です。

エルバマット の標準的な仕上は、イタリア語で「滑らか」という意味の「リスシオ(Liscio)」というシリーズです。その名の通り、滑らかで、吸い付くような質感。原皮の表情がわかる透明感があり、色艶の深まりが素晴らしく、エルバマットのベーシックなテクスチャーです。

また、アメリカ・テキサスの乾いた荒野を連想させる「テキサス(Texas)」シリーズもあります。銀面(表側)を起毛させたテキサスは、床面を起毛させたスエードより丈夫で末長く使用できます。柔らかくサラサラとした触り心地が特徴で、オイルも多く含むので、非常に早いエイジングも魅力です。使うほどに起毛が倒れ、艶が増し、色が深まり、テキサスならではの上品で味わいのあるエイジングが堪能できます。

テンペスティー社は植物タンニンなめしの生誕地と言われるフィレンツェ・サンタクローチェ地区にあります。イタリア・トスカーナに存在する約570社の革メーカーの内、厳格な基準をクリアした24社のみが加盟する「イタリア植物タンニン鞣し革協会」に加盟し、長年に渡り数々のラグジュアリーブランドへレザーを提供しています。

エルバマット のエイジングの例

Cammello
Fragola
Piombo
Lattuga
agave
Texas Agave
Texas Piombo
Texas Viola
Texas Giallo

Cammello(らくだ):定番のカラー。次第に美しい飴色に。

Fragola(イチゴ):鮮やかな朱色から、深いレンガ色に。

Piombo(鉛):グレーブラウンから彩度を抑えた深い焦げ茶へ

Lattuga(レタス):綺麗な若葉色から、深い艶とともにオリーブ色に。

Agave(アガベ):青緑色が次第に濃く。

Texas Agave(テキサス アガヴェ):浅い海から深海のように。

Texas Piombo(テキサス 鉛):グレージュから彩度を抑えた深い焦げ茶へ。

Texas Viola(テキサス スミレ):鮮やか藤色から深い紫に。

Texas Giallo(テキサス 黄色):鮮やか黄色から琥珀色に。

共に成長する革

エルバマットのエイジング

エルバマットの鮮やかで透明感のある色付けは、染料のみで行われます。傷やシミは、型押しや顔料で隠さないので、そのまま残ります。しかし、原皮の風合いをそのまま味わえるのは、最高品質の天然の革である証です。傷やシミも唯一無二の個性として、受け入れていただけますようお願い致します。
染料で仕上げた革は、使い込むほど色が深まり、エイジングを堪能できます。 エイジングに関しては、ヴァケッタレザーの右に出る革は存在しません。中でもオイルをたっぷり含むエルバマットのエイジングは美しく、短い時間で色艶が深まります。
イタリアでは革らしい自然な風合いが好まれ、エイジングを楽しむ文化が息づいています。エルバマットは、イタリアの革文化を継承し、その魅力を堪能できる数少ないイタリアンレザーの1つです。
共に成長していく革なので、入学や進級、就職など新たな門出へのプレゼントにも最適です。

オイルケアが不要

エルバマットの製造過程

一般的な革は、表面に最初から艶があると思います。それは、革の最終工程で表面にオイルを塗って仕上げているからです。しかし、表面のオイルは、経年変化で揮発し、光沢を失い、カサカサになります。それが定期的なオイルケアが不可欠な理由です。
一方、エルバマットは、その名の通り、最初は艶のないマットな表情です。これは、オイルを表面に塗らなくても、通常の1.5~2倍(原皮の約20%)のオイルを加える特許製法で、 繊維の中までたっぷりオイルが染み込み、革が乾燥しないというタンナーの自信の表れです。 使い込むほど、内側に含まれるオイルが気孔部分から染み出して表皮をコーティングし艶が出ます。防水効果も高まります。
ここに既成の皮革用オイルを加えると気孔が詰まり呼吸困難になり革が早く老化する事に繋がります。そのため、エルバマットにはオイルケアは不要です。防水スプレー、その他コーティングしてしまうようなものも禁物です。革が呼吸できず硬化します。
何もせず、よく使い革に適度な刺激を与えること、それが一番のメンテナンスです。
コーティングしないので表面は柔らかく傷つきやすいですが、多少の傷は指で擦れば自然に回復します。深い傷も、エイジングとともに馴染み、革の風合いへと変化していきます。
時間と手間がかかるため、現在ではヴァケッタレザーを生産するメーカーは僅かです。革大国イタリアの中でも、エルバマットは、革本来の味わいと扱いやすさを兼ね備えた希少な存在です。

環境への配慮

イタリア植物タンニン鞣し革協会のロゴ

エルバマットは、環境保護に配慮し、家具や紙を製造する為の木材の余剰物から抽出した100%植物由来のなめし剤を使用。
人体に有害なアゾ染料、ニッケル、PCPまたはクロムVIのような毒性物質は一切含まれておらず、金属アレルギーに苦しんでいる人も安心して使用できます。
また、「イタリア植物タンニン鞣し革協会」に加盟するタンナーは、サスティナブルな環境を構築するために、廃棄物のリサイクルに膨大な投資をしています。
使用する原皮は食肉加工の過程の副生産物を使用。
生皮から除去された毛髪は農業用肥料へとリサイクルされます。
浄化プラントに溜まる沈殿物は、煉瓦を製造するために建設分野で再利用されます 。
クロム鞣の革は燃焼により発がん物質を生成しますが、植物タンニン鞣しされた革は、その自然由来の化学・生物的特性により、容易に処分できます。
エルバマットを用いたSYRINX製品には、その品質と環境配慮の証として「イタリア植物タンニン鞣し革協会」発行のシリアル入り品質証明書が付属します。

氷の大地を思わせる
La Perla Azzurra Alaska(アラスカ)

アラスカ

La Perla Azzurra(ラ・ペルラ・アッズーラ)社は、植物タンニンなめしの生誕地と言われるイタリアトスカーナ地方、サンタクローチェで1967年に創業。以来フランス産の厚みある良質な原皮と、徹底的にこだわり抜いたアルゼンチン産のケプラチョタンニンを使用し、最高級のイタリアンレザーを作り続けている老舗タンナーです。
アラスカは、表面をワックスがけし、さらにドラムに入れて、シボ感を出しています。その表情は、まるで白銀のアラスカの氷の大地。ワイルドな自然なシボが魅力です。
使うほどに表面のロウが擦れて消えていきます。まるで白い雪から自然が顔をのぞかせ始めた春のアラスカのように、革本来の表情があらわれます。
表面のワックスと自然なシボにより、エルバマットに比べ傷がつきにくいのが特徴です。
色艶が深まり、エイジングの醍醐味も堪能できます。
「イタリア植物タンニン鞣し革協会」に加盟しています。

アラスカ のエイジングの例

アラスカ birch
アラスカ cammello
アラスカ grafite

Birch(樺):柔らかなベージュを覆うロウが白樺の樹皮を連想させる。

Cammello(らくだ):定番のカラー。シボに残るロウが取れ、次第に飴色に変化します。

Grafite(黒鉛):明るいグレーのカラーの下から、黒鉛のようなダークグレーがあらわれる。