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キノコ生まれの革の代替素材 〜持続可能な未来へ〜

マッシュルーム と森林
キノコ生まれの革の代替素材 持続可能な未来へ

植物由来の革の代替素材とは

近年、環境意識の高まりから「植物由来の革の代替素材(ヴィーガンレザー※)」が注目を集めています。

現在の大量の食肉消費に地球環境は耐えられなくなってきています。牛のげっぷやおならに含まれるメタンガスは温室効果ガスの総排出量の約5%を占めると想定されています。
この問題に対処するため、植物由来の代用肉の開発が進み、将来的には牛の飼育量は減少し、革も代替となる素材が必要となるかもしれません。

こうした背景から、世界中で開発が進み、パイナップルの葉、キノコ、サボテン、りんご、コーヒー豆など数多くの植物由来の革の代替素材が登場しています。

※「ヴィーガンレザー」に「レザー」という用語を使用することは、JIS規格に適合しないため、以下「革の代替素材」と表現します。

革の代替素材の課題

現在の技術では、長い歴史の中で改良を積み重ねた革の特性を、植物成分のみで再現することは困難です。そのため、ほとんどの植物由来の革の代替素材は、プラスチック(ポリ塩化ビニルやポリウレタンなど)で補強しています。それには多くのキノコ菌糸由来のものも含まれます。
植物由来のポリウレタンも存在しますが、植物成分は一部のみで石油由来成分も含み、耐久性、生分解性、質感において、多くの課題が残ります。

革の代替素材と共に拡がる誤解

石油由来の原料の一部が植物由来に変わっていくことは、サステナブルで素晴らしい動向です。
しかし本質的な問題は、植物由来、石油由来ではありません。そのどちらにも含まれる、プラスチックによる環境への悪影響です。

さらに問題は、多くのメーカーや販売者が、プラスチックの含有には触れず、「植物由来」をサステナビリティの代名詞のように扱い、これを商機と逃さなかった点です。これには、世界的なハイブランドや大企業も含まれます。

その結果、天然皮革よりも環境に悪影響を及ぼす可能性は覆い隠され、逆に「皮革は環境に悪い」という誤解が拡がっています。

マッシュルームレザー
Hitoe® Fold Aria -Mushroom-

プラスチックフリーの革の代替素材

キノコから生まれた革の代替素材「MYCL」は、私たちが待ち望んだ、プラスチックを含有しない循環型の素材です。

この画期的な新素材は、キノコの菌糸体(マイセリウム)を使用して作られます。キノコの菌糸が皮革と類似した天然の繊維構造を持つことを活かし、革に近い強度・耐久性を獲得しています。

染色や着色を行わず、化学物質の使用量を極限まで削減しています。
茶色くなった部分は、菌糸体からキノコが成長しようとした跡で、1点1点に個性があり、キノコの素材感も愉しめます。

MYCL JAPAN
マッシュルームレザーになるキノコの菌糸 写真:MYCL Japan

皮から革へ

人類は旧石器時代から、狩猟した動物を食用とするだけでなく、その骨を道具に、皮を衣服に変えることで、生存を支えてきました。腐りやすい動物の皮を耐久性のある革へと変化させることは、厳しい環境を生き抜くための人類の叡智です。

また、革をつくるために牛が殺されることはありません。皮は食肉産業で発生した副産物です。もし皮を革に変え、有効利用しなければ、焼却処分するしかなく、大量のCO2が発生します。

いただいた命の副産物である皮をアップサイクルした革は、命に対する真摯なリスペクトであり、食肉消費と地球環境の保全を両立するために欠かせぬ存在です。

cow made by leather
ヴァケッタレザー(牛革) 写真:Kawamura Leather

未来に向けたパートナー

植物由来の革の代替素材に、あえて動物由来の革を貼り合わせる例は、ほとんど見られません。
しかし、革に及ばない特性をプラスチックで補うことは、環境負荷を高めます。

キノコ生まれの革の代替素材「MYCL」は、プラスチックフリーの循環型の素材です。

植物タンニンで鞣された牛革も、化学物質をほとんど使用しない、自然に還る素材です。

このサステナブルな2つの素材は、相反する存在ではありません。多くの類似点をもつ、持続可能な未来に向けて補完し合えるパートナーです。

SYRINXはこの組み合わせが、環境に優しい理想的な選択肢の一つであると考え、私たちにできる責任との向き合い方について、これからも模索し、取り組み続けます。

マッシュルームレザー
キノコ生まれの革の代替素材「MYCL」 写真:MYCL Japan