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記事: 小さい長財布を再定義する。

Column

小さい長財布を再定義する。

長財布を小さくする。
その発想は、一見すると合理的に見えます。
しかし、その前提には落とし穴があります。

一万円サイズへ、という収束

キャッシュレスが進んでも、長財布を選ぶ方は少なくありません。お札を折らずに収納できること。一覧性の高さ。取り出す所作の美しさ。二つ折り財布にはない魅力があります。

その長財布を、時代に合わせて小さくしようという動きが広がりました。答えとして選ばれたのが、「一万円札のサイズに近づける」という発想です。無駄を削り、外寸を最小限に収める。一見、合理的に見えます。

しかしこの発想には、見過ごされてきた問題があります。

一万円サイズの中で、カードは並べられない

一万円札のサイズは、160×76mmです。ここにカードを2枚並べようとすると、どうなるか。

縦に置いても、横に置いても、2枚を重ならずに並べることができません。どこに置いても、必ず中央に「すべてのカードが重なる帯」が生まれます。

中央部でのカードの重なり
一万円札サイズの中でカードをどれだけ分散させても、
中央の濃い赤い帯は、すべてのカードが必ず覆う領域となる

カードを左右に分散させても、この帯からは逃れられません。3枚でも、4枚でも、同じです。一万円サイズの長財布である限り、すべてのカードは必ず中央で重なります。

これは工夫で回避できる問題ではありません。寸法の必然です。

「小さい長財布」は、厚くなることを根本的に避けられません。

収納力を削れば、長財布である意味が消える

厚みを抑えようとすれば、収納量は削られます。

しかし、カード数枚の収納であれば、わざわざ長財布にこだわる必要はありません。Hitoe® Fold のような小さい薄い二つ折り財布の方が、携帯性も利便性も優れています。

収納力を削って小さくした長財布は、長財布を選ぶ理由を自ら消してしまいます。

問いを立て直す

「長財布をどう小さくするか」という問いでは、この問題は解けません。
外寸を縮めることを出発点にする限り、厚みは必然的に生まれます。

「長財布はどうあるべきか」。

問いを立て直すと、見えてくるものが変わります。お札を折らずに収納できること。収納物を一望できること。十分な収納力を持つこと。それが長財布を長財布たらしめる条件です。

この条件を出発点にすれば、問題は外寸だけでなく、収納物の重なりにあると気づきます。

構造が、形を決める

重なりは、構造でしか解けません。
その形が、2019年に発表したダブルカードポケットです。

一万円サイズより、少し高さは高くなります。
しかし、カードをL字型に2箇所へ分散させることで、一万円札の幅のまま、カード同士の重なりを半減させます。
さらに、少し増えた高さを活かし、カードと硬貨は重なりません。

「小さい長財布」ではなく、「小さい薄い長財布」。
外寸を縮める発想から、同時に重なりも解く発想へ。

形は、問いから生まれます。


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