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記事: 薄い財布を再定義する。

Column

薄い財布を再定義する。

薄い財布とは

これまでの「薄い財布」

薄い財布とは、どのような財布でしょうか。

たとえば、フラグメントケースのように、何も入っていない状態で薄い財布。
確かに見た目は薄く、スマートです。
しかし収納力は限られており、無理に収納すれば形は崩れ、見た目も使い心地も損なわれてしまいます。

では、効率的に収納できる嵩張らない財布でしょうか。
カードや紙幣を合理的に配置することで、収納しても薄さを保とうとする設計です。
しかし、日々の使用の中で中身が増えていけば、やがて収納は限界に達し、財布は少しずつ厚みを増していきます。

薄い財布は、これまで「薄い形態」に価値があると考えられてきました。
けれど私たちは、その先にある本質を見つめています。

薄いまま寄り添えること

本当に大切なのは、薄いまま寄り添えること。

私たちにとって「薄い財布」とは、単なる形態ではなく、体験そのものです。
見た目が薄いだけでは、日々の使用の中でその薄さを保つことはできません。

必要なのは、使うたびに収納物が滞留しにくい構造です。

薄い財布の進化 第1段階 何も入れないから薄い フラグメントケース ↓ 薄い 入れると形が崩れる 第2段階 収納しても薄い 収納効率 ↓ 薄さを維持 中身が増えると厚くなる 第3段階 薄いまま使える 使いやすい構造 ↓ 滞留しない ↓ 薄さが保たれる

財布が厚くなる原因

財布の中身は、日々の生活の中で少しずつ変化していきます。
カードや紙幣・レシート、そして硬貨。

その中でも、財布の厚みにもっとも影響しやすいのが硬貨です。

硬貨が厚みを生む理由

ポケットを薄く設計すれば、財布の厚さは抑えられるかもしれません。
しかし、金物で開閉する構造や、窮屈だったり深すぎたりするポケットは、硬貨を取り出しにくくします。
その結果、硬貨は使われにくくなり、支払いのたびに財布の中に滞留していきます。
そして、その滞留が財布の厚みを生み出します。

コインポケットを小さくするだけでは、薄い財布は成立しません。
むしろ小さくしたがゆえに使いにくければ、財布はすぐに厚くなるか、使われなくなってしまいます。

硬貨が貯まりにくい構造

本当に大切なのは、硬貨が貯まりにくいこと。

・見やすい
・整いやすい
・取り出しやすい

こうした使いやすさがあってはじめて、硬貨は滞留せず、薄いままで使い続けることができます。

薄さは、カタチだけで生まれるものではありません。
使いやすさを突き詰めた結果として、自然に保たれるものなのです。

Hitoe®の実装

例えば、Hitoe® Foldのコインポケットには、以下の特徴があります。

・浅く、視認性が高い
・入れておくだけで、硬貨が整列しやすい
・適度なマチがあり、窮屈でなく取り出しやすい
・財布を開くだけで、紙幣と硬貨に同時にアクセスできる

硬貨を使いやすくし、滞留させない。それを明確に意識してデザインしています。

また、Hitoe® L-zip Lのコインポケット「Floating U」も、同様のコンセプトでデザインしています。

思考をカタチにする

SYRINXは、思考をカタチにするブランドです。

私たちの財布が他と一線を画するのは、
「薄い財布」に対して独自の定義を持っているからです。

私たちは、ただ薄いフォルムの財布をつくるのではありません。
薄いまま、日常に寄り添える財布をデザインします。
その体験まで含めて、私たちは「薄い財布」と呼んでいます。

薄い財布を完成させるのは、財布を使うあなたです。

(文・佐藤 宏尚|SYRINX代表・デザイナー)

ミニ財布 Hitoe®シリーズ