コンテンツへスキップ

Newsletter

新規ご購読で500円OFF

記事: 小さい薄い財布の先駆者 Hitoe® Fold

Design Journal

小さい薄い財布の先駆者 Hitoe® Fold

小さい薄い財布の先駆者 Hitoe® Fold

キャッシュレス時代に薄く、コンパクトな財布を求める多くの声に支えられてきたHitoe® Foldシリーズ
2019年に「小さい薄い財布」という新たなコンセプトの製品として発表してから、数々の挑戦を重ね、新領域を切り開いてきました。

「薄い財布」から「小さい薄い財布」へ

Hitoe® Fold をひと言で表すなら、「第二世代の薄い財布」です。

薄さの追求に焦点を当てたのが第一世代。
それに対して第二世代は、「小さいこと」まで徹底して追求します。
その第二世代の起点となった Hitoe® Fold が、どのように生まれ、進化してきたのかを振り返ります。


「薄い財布」の時代

Hitoe® Fold が登場する以前、カードと硬貨を重ねない構造の財布は数えるほどしかありません。
それらを年表にまとめると以下のようになります。

2008.07 サルトーレ・ワレット(サルトーレ)
2009.12 薄い財布(バリューイノベーション)
2017.01 コモド(ULYSSES)
2018.06 Hitoe® L-zip S(SYRINX)
2018.11 Piastra(エムピウ)
2019.09 Jitan(JACAJACA)

これらの財布の共通点は、硬貨とカードが重ならないこと。
一方で、カードポケットには名刺も収まるなど、「小さいこと」を明確に追求したものはありませんでした。

この「薄い財布」というカテゴリーを世に広く知らしめたパイオニアは、「薄い財布(バリューイノベーション)」だと考えています。
その完成度の高さゆえ、発売開始から約10年間、「薄い財布」といえばこのモデル、という代名詞的な存在でした。


薄い財布を再発明「小さい薄い財布」へ

しかし、現在では多種多様な薄型財布が市場に登場しています。
その変化の起点となったのが、2019年11月に発表したHitoe® Foldでした。

Hitoe® Fold の革新の本質は、薄いだけでなく明確に「小さい」を目指したこと。
当時、カードポケットをクレジットカードジャストサイズまで削り込み、「小さい薄い財布」というコンセプトを前面に掲げた財布は、少なくとも私たちの知る限り存在しませんでした。
こうして、「小さい薄い財布」という、これまでにないコンセプトを具体的な形に初めて結実させたのが Hitoe® Fold でした。

2019年のHitoe® Foldの発表から半年ほど経ち、この考えを採り入れた同類の財布が、2020年以降次々と登場し、今では「小さい薄い財布」という新たな系譜が広がっています。

それらの原点であるHitoe® Foldが、どのように誕生し、進化してきたのか。
その歴史を振り返ります。


発明と発表:ミニマリズムを形に

2019 夏:開発スタート

収納するカード自体を留め具として利用する「インナーフック」を発明。
何度も試作を繰り返し、薄さ・シンプルさ・使いやすさを極限まで突き詰め、11月に特許出願と同時に試作品を公開しました。

Hitoe Fold 二つ折りミニ財布 Prototype-8 発表時の写真
製品発表時の写真(Prototype-8)

公開直後の反響

ミニマルを極めた試作品の発表を機に、SNSで大きな話題となり、公式サイトのアクセスは急増。
最大で 1日24,000セッションを記録。
「小さい薄い財布」という新たなコンセプトが、大きな話題と共感を呼びました。

SYRINX公式サイトのアクセス推移(セッション数)
公式サイトのアクセス(セッション)数

挑戦の年表:クラウドファンディングとデザインの進化

2020–2021:誕生から確立へ

クラウドファンディング国内最高額の更新や、新モデルの投入を立て続けに実現した時期。AriaやLessといった派生モデルを展開し、二つ折り財布の新たなスタンダードとしての地位を確立しました。

  • 2020.02 ― 初代 Hitoe® Fold クラウドファンディングは大きな注目を集め、開始わずか3分で1,000万円超を達成。コロナ禍の影響で18日・3,500個で早期終了するも、当時の財布の国内最高額を記録。Campfire Crowdfunding Award 2020 受賞。
  • 2020.12 ― Hitoe® Fold Ariaを発売。札押さえと無双仕立てを採用し、支援総額は7,800万円超で自らの国内最高額を更新。
  • 2021.04 ― Hitoe® Fold(2代目)を発表。札押さえを追加し、支援額5,500万円超を記録。財布の国内最高額1〜3位をHitoe® Foldシリーズが独占。(以後2025.02まで続く ※自社調べ
  • 2021.12 ― Hitoe® Fold Lessを発表。カード3枚収納に限定した、究極の薄型モデル。
初代Hitoe® Fold クラウドファンディングの成功
CAMPFIRE Crowdfunding Award を受賞
Hitoe® Fold Aria の反響
Hitoe® Fold Aria:アクセス集中で一時サイトが繋がりにくくなるほどの反響
2代目 Hitoe® Foldのクラファン
2代目は初代の支援額を更新
Hitoe® Fold Lessのクラファン
Hitoe® Fold Less:特殊仕様ながら多くの支持を獲得

2023–2025:完成形へ

3代目Hitoe® Foldの登場により、サイズや収納設計をさらに最適化。自社サイトでのクラウドファンディングでも大きな支持を得ました。2024年にはキノコの菌糸由来のコレクション「Mushroom」を発売。2025年には、5周年記念コレクション「Antico」を発表。最後に残された構造上の課題を解決し、真の完成形へと進化しました。

  • 2023.05 ― Hitoe® Fold(3代目) を発表。自社サイトでの公開ながら、支援額4,000万円超を達成。
  • 2025.05 ― 5周年記念コレクション 「Antico」を発売。コインポケットの形状をアップデート。
  • 2025.10 ― Hitoe Fold -Liscio- のコインポケットの形状をアップデートを発表。
  • 2025.11 ― Hitoe Fold Aria & Less のコインポケットの形状をアップデートを発表。
3代目 Hitoe® Foldのクラファン
3代目は自社サイト内CFで4,000万円超を支援
5周年記念コレクション「Antico」のクラファン
5周年記念コレクション「Antico」

受賞歴

Hitoe® Fold シリーズだけで 20冠(SYRINX全体で 31冠)。世界三大デザイン賞(iF・Red Dot・IDEA)をはじめ、国内外で高い評価を獲得しています。

受賞実績 20冠
Hitoe® Fold 20冠

主要受賞(世界三大デザイン賞)

  • iF Design Award 2019, 2022, 2023
  • Red Dot Award 2022
  • IDEA 2018, 2023
+ 年別の受賞一覧を開く

2020

  • Campfire Crowdfunding Award 2020
  • おもてなしセレクション 2020

2021

  • おもてなしセレクション 2021
  • K-DESIGN AWARD 2021
  • European Product Design Award 2021
  • MUSE Design Awards 2021
  • NY Product Design Awards 2021
  • IDA Design Awards 2021
  • London International Creative Competition 2021

2022

  • Red Dot Award 2022
  • iF Design Award 2022
  • A’ Design Award & Competition 2022
  • おもてなしセレクション 2022
  • DNA Paris Design Awards 2022
  • DFA Design for Asia Awards 2022
  • Chicago Good Design Award 2022

2023

  • German Design Awards 2023
  • iF Design Award 2023
  • IDEA 2023

2025

  • ソーシャルプロダクツ・アワード 2025

小さい、薄いだけでなく、
さらに使いやすく、美しく。
それは偶然ではなく、思考を重ねた結果です。
SYRINXは、これからも挑戦を続けます。

(文・佐藤 宏尚|SYRINX代表・デザイナー)

Hitoe® Fold 二つ折り財布の一覧はこちら

Read more

思考のツールとしての財布

思考のツールとしての財布

財布という日用品に潜む「所作の美学」と「薄さの思想」を描く短編シリーズ『レジ前0.5秒の攻防』全四話をnoteに公開しました。Hitoe®シリーズの思想や、ミニマルな財布がもたらす体験を物語として描いています。

もっと見る
小さい薄い長財布の先駆者 Hitoe® L-zip L
Design Journal

小さい薄い長財布の先駆者 Hitoe® L-zip L

一万円札サイズに近づけた「小さい長財布」は、なぜ中央だけ分厚くなってしまうのか。その構造的な限界を図解でひもときながら、カードを二箇所に分ける「ダブルカードポケット」によって「小さい薄い長財布」という新しい領域を切り開いた Hitoe® L-zip L の設計思想と歩みを紹介します。

もっと見る